横浜セントラルパーク歯科

口臭の原因は口の渇き?「ドライマウス」の要因と対策方法

自分の口臭が気になるという患者さまの中に、「口の中が乾きがちだ」という傾向はありませんか。実はドライマウスになると口臭が出やすくなったり、虫歯や歯周病などに罹りやすくなるという特徴もあります。ドライマウスになってしまう要因やそれを防ぐための対策をご紹介しますので、ぜひ当コラムをご一読ください。


ドライマウスの原因

ドライマウスは「口腔乾燥症」ともいわれるもので、その原因としては主に4つのものが考えられます。


1.加齢に伴う身体機能の変化

加齢によって噛む機能や顎周りの筋力が衰えてくると、「唾液分泌機能」も低下していきます。この結果、口の中の水分量が減り乾きやすくなることが知られています。歳を重ねるとどなたにも衰えは現れますが、後にご紹介する「ドライマウス対策」を参考に意識してアンチエイジングに取り組んでみてください。

2.生活習慣や生活環境

普段の生活習慣やお過ごしいただいている生活環境によっても「ドライマウス」は助長されます。代表的なものは「喫煙」や「飲酒」で、これらの習慣をお持ちの場合はどうしてもお口の中が乾きやすくなります。

 ドライマウスに繋がる生活習慣 

喫煙、飲酒、口呼吸、ストレスなど

上記のように、「口呼吸」が定着してしまっている場合にもお口の中は乾きやすくなります(この場合は風邪などのウィルス性の病にも罹りやすくなると言われています)。また、日常生活に潜む「ストレス」も口腔内の乾きをもたらすケースがあります。

緊張感が持続しすぎるとリラックスタイムが失われてしまい、副交感神経が働きにくくなって唾液量の分泌量が抑制されるという流れになります。

3.薬の副作用

「風邪薬」や「鼻炎薬」に含まれる抗ヒスタミン薬には、一定の副作用として口の乾燥を招きやすくなるという特徴があります。同様に「花粉症のお薬」、「血圧降下剤」、「抗うつ剤」などの中にも口を乾きやすくさせてしまう成分が含まれるケースがあります。

普段使い慣れているお薬であっても、その薬剤成分の中には目立たない副作用が含まれていることもありますので、薬を処方してもらう際は担当医や薬剤師の話に耳を傾けるようにしましょう。また、言うまでもないことですが、お薬に頼りすぎてしまわない生活を心掛けることも大切です。

4.病の影響

お薬を飲む・飲まないにかかわらず、病の症状としてドライマウスを併発させてしまうものもあります。たとえば「糖尿病」や「腎臓病」の患者さまの中には、数ある症状の一つとして口腔内の乾燥がもたらされるケースもあります。また、「シューグレン症候群」の場合には涙腺や唾液腺などの慢性的な炎症が出てしまうため、常態的に口の中が乾きやすいという作用がもたらされます。


ドライマウスの対策

ドライマウスの対策としては「物理的に口腔内を潤す方法」と、「間接的に口を乾きにくくする方法」とが考えられます。

1.十分な水分補給

口の中の乾燥を防ぐためには、「こまめに水分補給」を心掛けることが重要です。特に、秋や冬は湿度低下や室内暖房器具の使用などにより空気乾燥の影響を受けやすくなります。加湿器を使ったりマスクをするなどの対策を立てつつ、基本事項としてのこまめな水分補給を忘れないようにしましょう。

2.よく噛んで食べる

普段からよく噛んで食べていると「唾液分泌機能」はしっかりと働くようになります。これはお食事時間の潤いだけでなく、食べていないときの潤いにも繋がります。近年では柔らかい食べ物が食卓に並びやすくなっていますので、「何となく食事をとる…」のではなく、「積極的に噛んで食べる!」という意識を持ちたいものです。

また、食べやすいものばかり選ぶのではなく、噛み応えのあるメニューを加えることも大切です。

3.舌の体操(運動)

「舌の体操」は唾液分泌の刺激になりますので、ドライマウス対策に効果的です。口を開けて舌を前に突き出し、大きく上下左右に動かしたり、右回り左回りに円を描くような体操をすると良いでしょう。舌を突き出すという行為が少し恥ずかしい場合は、前歯と唇の間に舌を入れ、口を開けないままクルクルと右回り、左周りに動かす運動もあります。

朝起きて歯を磨くときや入浴時、あるいは食事の前に舌の体操をするなど、工夫して日常生活にお取り入れください。

4.唾液腺のマッサージ

唾液は「唾液線」を通じて分泌されます。次に挙げる3つの唾液腺を刺激することで口腔内が潤いやすくなります。

 3つの唾液腺 

● 耳下線(じかせん)…耳の下から上の奥歯あたりに位置する

顎の付け根あたりを中心に後方から前方に回すようにマッサージすると良いでしょう。

● 顎下線(がくかせん)…顎のエラから3㎝程度内側に位置する

エラより少し内側の顎下を中心に指で押すように刺激すると良いでしょう

● 舌下線(ぜっかせん)…舌の付け根の下側、下顎部分に位置する

少し顎を突き出すようにして、顎下の真ん中あたりを中心に親指で押すように刺激しましょう。

実はこれらの唾液腺から出てくる唾液には、「ネバネバした唾液」と「サラサラした唾液」の2種類があります。ネバネバ唾液とサラサラ唾液は内容物が少し異なっており、ネバネバした唾液は主に細菌の侵入を防いだり皮膚粘膜の保護などを担います。一方のサラサラした唾液は消化吸収が中心的な役割になります。

サラサラ唾液は「耳下線」から多く分泌され、ネバネバ唾液は「舌下線」から多く分泌されます。「顎下線」からは両方が同程度分泌されると言われています。このようなことから、たとえばお食事の前に「耳下腺」を意識してマッサージしてあげれば、効果的に消化吸収を助けることができるでしょう。


まとめ

当コラムでは、ドライマウスの原因とその対策についてお伝えしました。口腔内の乾きは嫌な臭いの原因になったり、虫歯菌などの細菌繁殖を助長します。「何だか口が乾いているな…」と感じやすい患者さまは積極的に当コラムでご紹介した対策をお取り入れください。

また、直接当院にご相談いただくことも可能です。お気軽にご来院いただけますと幸いです。