横浜セントラルパーク歯科

ベロが白いのは病気??舌苔(ぜったい)の正体と予防ケア

お医者さんに体調を診てもらうときに、「口を開けて舌を出してください」と言われた経験はありませんか。なぜこのようなことをしているのかと言うと、舌の形、表面の汚れ、色などによってその患者さまの健康状態がある程度わかるからです(舌診と呼びます)。

中でも、舌が白く苔のように汚れが付着しているものを舌苔(ぜったい)と呼び、口腔環境にとって良くない状態だと言えます。ご自分の舌の色が気になる方、ぜひ当コラムをご確認ください。


舌苔(ぜったい)とは?

舌には、古くなって剥がれた口腔内の粘膜や細菌、食べカスや汚れなどが付着します。このようなものが舌の上に乗って苔上になったものを「舌苔(ぜったい)」と呼んでいます。誰にでも薄くこのような汚れは付着しますので、「少しばかり白い状態」までは問題ありません。ただし、誰が見ても「過度に白くなっている状態」であれば注意を要します。


内容物としては「プラーク」のようなもの

舌苔の内容物は、歯の表面や歯の隙間に溜まってしまう歯垢(プラーク)と概ね同じと考えて良いでしょう。お口の中の粘膜が古くなって剥がれ落ちたものも含まれますが、唾液で細かく消化されたときの残り(食べカス)や、そこに集う細菌が舌の上に堆積してくると、これが徐々に白くなって目立ってくるというわけです。

舌苔の原因は?

舌苔は誰にでも少なからず付着しますが、通常以上に溜まりやすい人もいます。一般的には以下のような原因が考えられます。

 舌苔が増えてしまう要因 

● 歯磨きなどの口腔ケアが不十分

ずぼらな性格であまり歯を磨かない場合や、職業柄昼に口腔ケアしにくいケースなどが考えられます。

● 口呼吸の定着

鼻ではなく口で呼吸すると口腔内が乾燥しやすくなります。乾燥は唾液を減らし細菌を増やしてしまうことを意味しますので、口呼吸が定着してしまっている場合は舌苔が付着しやすいと言えます。

● 唾液分泌量の低下

加齢などで唾液量が減少すると舌苔も付着しやすくなります。しっかり噛んで食べない場合も同様で、病気で唾液量が減ってしまうケースも考えられます。

● 舌の筋力や運動機能の低下

口を動かして誰かと会話する時間が減ると、舌の筋力も衰えていきます。定年退職などで家にいる時間が長くなり、歩くといった運動が減ってしまった場合も身体機能が低下します。

これらは巡り巡って唾液の分泌量の低下に繋がり、結果的に舌の上の苔を育てやすくしてしまいます。


舌苔が要注意なワケ

舌苔が溜まると、お口の中にいる虫歯菌や歯周病菌が排除されにくくなるため、口腔内のトラブルを招きやすくなります。お口の中では常に「脱灰(だっかい)」と「再石灰化(さいせっかいか)」が繰り返されており、舌苔が増えるということは「脱灰作用が優位な状態になること」を意味します

 脱灰と再石灰化とは? 

● 脱灰…細菌が糖を取り込んで酸を産出し、歯の表面のエナメル質を溶解する現象

● 再石灰化…産出された酸を口腔内の唾液が中和し、溶解しかけたエナメル質を元に戻そうとする現象

既にご紹介したように、舌苔はプラークと同じような「細菌の集合体」ですので、舌苔が白く目立っている状態はお口の中に本来以上の細菌が繁殖していることを意味します。このため、結果的に酸を中和しようとする働きの「再石灰化」が促されにくくなり、歯の状態を健康に保ちにくくなってしまうのです。

また、舌の上に細菌がたくさんいるということは、会話の際にその臭いをストレートに外に放つことを意味します。つまり、舌苔は「口臭の原因」にもなってしまうのです


舌苔のケア方法(予防手段)

舌苔自体は、意識すれば比較的簡単に取り除くことができます。自分の舌を見てちょっとマズいなと感じた場合は、ここでご紹介する予防手段を実践してみてください。

1.舌ブラシや毛先の柔らかい歯ブラシで除去

昨今では専用の「舌ブラシ」が市販されています。これを使って優しく丁寧に舌を磨くと良いでしょう。強く磨きすぎると舌の粘膜を傷つけてしまうため、一日に一度優しくケアすることを心掛けてください。タイミングとしては朝の歯磨き時がおススメです。

いつも使用している歯ブラシではなく、別途「毛先の柔らかい歯ブラシ」を用意しても良いでしょう。ただし、毛先の硬いものは避けるようにしましょう

2.口内洗浄液(薬用マウスウォッシュ)

舌をブラッシングするだけでも舌苔はかなり改善されます。これでも少し心細いというケースや、口臭も含めて徹底ケアしたいという場合は「口内洗浄液」を活用しましょう。リステインなどを含む「薬用マウスウォッシュ」であれば殺菌作用がありますので、口腔内に残存する細菌を強く抑制できます。


まとめ

当コラムでは「舌苔」について取り上げ、その原因や口腔内にもたらす作用、そして予防方法についてもご紹介しました。冒頭でもご紹介したように、舌は健康状態を推し量るバロメーターになります。ぜひ自分の舌の状態を確認していただき、状況に合わせて「舌のブラッシング習慣」をお取り入れください。

その他、お口の中のトラブルや、自分の舌を見ても「健康なのかどうかよくわからない??」という場合はお気軽に当院までご相談ください。専門家目線で適切な治療とアドバイスをご提供いたします。